県代表なのにベンチ入りメンバーに地元出身者が0人!?野球留学は必要なのか?

第96回選抜高校野球大会で健大高崎高校が優勝した。健大高崎のメンバー20人のうち群馬県出身はたったの1 人だった。その他の19人の選手は野球留学の選手であった。ネット上では、賛否両論が巻き起こった。今回の記事では、野球留学について考えてみる。

(あの野球道具がこの価格で買える!)

野球留学とは?

野球留学とは、主に私学で行われるスポーツ推薦などを通じて、親元を離れてこれまで在住してい
た都道府県外の学校に「野球」をプレイすることが主な目的として通うことを指す。

なぜ野球留学が問題視されているのか

  • 高校野球の教育性に反する

全国から選手を集める方法は、「教育の一環」である高校野球の理念にふさわしくないという考え

野球留学の歴史

“野球留学”は三重出身の沢村栄治(巨人)や中尾碩志(巨人)が京都商業に進学するなど戦前から存在していたが、全 47 都道府県が毎年出場し始めて以降、顕著になった。甲子園の土を踏むために有利な県外の高校に進学する生徒が増加したのだ。1980年には創立3年目の江戸川学園取手が予選のベンチ入
りメンバー17人のうち 16人を県外出身者で固め、茨城代表となった。しかし、県民には歓迎されなかった。試合中には『東京へ帰れ!』のヤジが飛び、水戸市で県大会優勝のパレードをしても人影はまばらだったという。県民は、県外出身者へのアレルギーを持っていた。“野球留学”は国会でも取り上げられた。1990 年 4 月には衆議院文教委員会で社会党の沢藤礼次郎議員の質問に対し、保利耕輔文部大臣が『(選手集めで)一部に行き過ぎがあるような印象』と答えた。その1カ月後、日本高校野球連盟が「健全な高校野球を育てるために」と題して、各都道府県の高野連に中学生のスカウティング禁止通達を出した。しかし、効果はなかった。」

引用 「野球留学生が増える=強くなる」は本当か? 夏の甲子園「都道府県別勝利数」で明らかになった新事実! “地元の球児に限らない”参加校は戦前にも – 高校野球 – Number Web – ナンバー

野球留学というのは、戦前から議論されている問題であるのだ。

野球留学の目的

学校側の目的

  • 学校活性化

私学が学校を存続させるためには生徒数を維持、拡大しなければならない。野球留学生を集めることで学校の存続を図っている学校も存在する。また、生徒数が減少している県では、他県からの留学生を募集している公立高校も存在する。

選手側の目的

  • 甲子園に出場するため

強豪校(特に加盟校の少ない県の強豪校)に入学すれば、甲子園に出場できる確率があがる。

  • 特待生として入部するため

特待生制度を使うことで、学費が免除されるなど経済面で学校側がサポートしてくれる。

  • 大学進学のため

大学にスポーツ推薦で進学する場合には、進路の良い野球部に入れば、志望する大学に進学できる確率が上がる。


野球留学に肯定的な指導者

明秀日立高校 金沢成奉監督

金沢監督は弱小だった青森の光星学院を全国から生徒を集め、強豪校にした。

「高校生の頃に野球留学をすることで、自己を確立していけるという信念を持ってやっています。心の芯がしっかりした人間さえつくれば、21世紀に見合うような人間育成もできるのかなと思いますね。」

引用 【野球留学校の実態・前編】「野球留学=ほぼ逃げ道がない」

野球留学に否定的な指導者

横浜高校元部長の小倉清一郎氏

大阪桐蔭高校、健大高崎高校の野球留学の多さに関して、「最近は関東や東京、というより、全国からトップの中学生をかき集めている。センバツのベンチ入りメンバーで1ケタ背番号の9人中7人が大阪府外出身だ。初優勝した健大高崎に至っては、1ケタ背番号の9人中8人、ベンチ入り20人中18人が県外出身。私は以前から声を上げているが、「県代表」というのだから、他県出身者の人数制限を設けるべきだ。例えば人口300万人以上の大都市圏にある学校は、試合に出られる県外出身者は5人、それ以外の県は6人など。「「私学の経営は厳しいから、生き残り競争のため」」という議論になるだろうから、今まで通り、入学は無制限でいい。試合に出場できる人数を5人や6人に制限するのだ。そうすると、付属中学に野球留学させ、地元出身者のように見せかける「「抜け道」」を使う学校が出てくるだろうが、まずはルールを作ることが肝要だ。大阪桐蔭・西谷監督の69勝と健大高崎の初優勝で強く思う。今のままでは、ますます特定の高校ばかりが勝ち続けることになる。結果として全国的に野球が衰退することになりかねないから、日本高野連は本気でこの問題と向き合うべきである。」

引用 (3ページ目)高野連に求めたい「野球留学者の人数制限」 センバツV健大高崎はベンチ入り18人が県外出身|野球|日刊ゲンダイDIGITAL

野球留学を実施していない高校

公立高校は、基本的に野球留学はない。2024年の甲子園で大躍進を遂げた大社高校もその一つだ。

私立高校であれば

栃木県 作新学院  群馬県 前橋育英

かつては岩手の花巻東高校も県内出身選手のみで戦っていた。

野球留学は制限するべきなのか

制限をした場合、地域性という観点で見れば高校野球はよりよいものになる。しかし制限をした場合には弊害が間違いなく起こる。

制限した場合に起こること

  • 各都道府県の私立高校の一強化

甲子園に出場するために、環境の整った強豪校に進学する選手が増加する。すると私立高校と公立高校のレベルの差が大きくなる。私立高校にレベルの高い選手が集まると、試合に出れない選手が生まれて有望選手の成長機会が失われる。

  • 地方にある野球部の廃部、高校の廃校

人口の少ない都道府県の学校、特に野球留学生で経営を存続させている高校が廃校になる。

  • 私立高校は、附属中学の野球部をつくり、中学生の時点で野球留学生を集めるようになる

高校野球で野球留学が禁止なら、中学野球で野球留学をさせるという発想になる。

結論 終わりに

選手には、自分の好きな場所で野球をやる権利がある。

地元の高校で甲子園を目指す選手がいてもいいし、県外の高校で親元を離れて甲子園を目指す選手がいてもいい。高校も同じで、地元の選手だけで甲子園を目指す高校があってもいいし、他県から選手を集めて甲子園を目指し地域活性化する高校があってもいいのだ。

なんといっても高校野球は、選手が第一であり、選手がいなければ成り立たないということを忘れてはならないのだ。選手の権利を制限するという観点においては、野球留学を制限するということは難しいのではないか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました