はじめに
2025年の選抜高校野球大会に初出場するエナジックスポーツは、監督ではなく選手同士でサインを出すノーサイン野球を実践している。
ノーサイン野球は、選手が自分の好きな通りにプレーするのではなく、場面に応じてどういう判断をすれば、勝利につながるかということを考えてプレーをする。
ノーサイン野球こそ、「自ら考えて行動する力」が求められる現代に最適なプレースタイルではないか。
そこで今回は、「ノーサイン野球」について考えてみる。
ノーサイン野球を実施している高校
エナジックスポーツ 戦績 2024年秋季九州大会準優勝
エナジックスポーツの神谷嘉宗監督はノーサイン野球の目的をこのように述べている。
『もちろん盗塁やバントの失敗、連係のミスが起きることもあり「不安もいっぱいある」。ただベンチから見ていて選手たちが想像を超えるプレーをすることも多く、それと同じくらい「ワクワク、ドキドキする」。高校教育を通じて生徒の自主性を育てる副学院長としての目から見ても、常に自分で考え、選択する習慣が必要なノーサイン野球は「自立につながると思う」と考える』と述べている。
引用
沖縄球界に異変起こした謎の高校 興南・沖縄尚学の2強破って創部3年目で県王者「エナジックスポーツ」とは | THE ANSWER
そしてノーサイン野球に関してこのように述べている。
「ずっと失敗だらけです。ノーサイン野球って、失敗を容認できるかどうか。失敗をいっぱい経験して、何がいいかを自分で選んでいくわけですから。常に状況を考えながら、先のことも考えて、相手の動きも見ながらスキをつく野球なので。やればやるほど成長していくわけですよ。だから、最後の夏に仕上がればいい。(2024年)秋に九州で準優勝できたのもできすぎなんですよ。彼らは春、夏と成長していくので。この子たちが夏になった時に、どれぐらいまで仕上がってくるのか。毎年こういうのが楽しみになってくるんですよね」
「そういう野球をやれば、もちろんピッチャーも鍛えられます。相手との駆け引きがずっとあるので。ノーサイン野球は攻撃に特化されがちだけど、点を取られないための守備も、相手との駆け引きのなかで訓練していかないといけない」
引用
創部わずか3年でセンバツ甲子園 エナジックスポーツが実践する「ノーサイン野球」の正体とは? (4ページ目) | web Sportiva (スポルティーバ)
青森県 弘前聖愛学院高校 戦績 夏の甲子園2回出場
弘前学院聖愛高校野球部の原田一範監督は、
ノーサイン野球を始めたきっかけをこのように述べている。
『きっかけは、7年ほど前に参加した経営者向けの講演会にて、とある方からいただいた「これからは野球型の人間は使えません」という言葉でした。
それはつまり、1球1球、監督のサインを見て、それを実行するだけでは、自分で状況を判断できる人は育たないということです。
そのために、無限に存在する試合の状況に、逐一ベストな判断ができるよう、考え方の部分を鍛えることに最も時間をかけています。』
徳島県 富岡西高校 戦績 2019年選抜出場
富岡西高校野球部の小川浩監督は、ノーサイン野球に関してこのように述べている。
「監督から出すサインというのは、どうしてもワンテンポ遅れてしまうことが多いと感じていた。実際にプレーする選手の方が感覚的に分かっていることがある。相手投手はもうほとんどノックアウトできるのに、ベンチから要らぬサインを出してチャンスを逃してしまったりしていた。選手の感覚、自主性に任せた方がいいんじゃないかと思うようになった」
「ただ、指示を待ち、言われるままプレーしているようでは、社会に出ても通用しません」
ノーサイン野球のメリット
- 自主性を育むことができる
どの監督も「自主性」という言葉を掲げているように、現代社会において必要な力を野球を通して、育むことができるのだ。
ノーサイン野球の落とし穴
ノーサイン野球は、監督次第で選手が「監督の機嫌をうかがう野球」をすることになってしまう。
それが、監督が自分が想定しているプレーをしなかった選手に対して、怒ったり、交代させたりする場合だ。すると選手は監督に怒られないように、試合にでれるようにと「監督の機嫌」をうかがう野球となってしまう。そのため監督は、選手が場面にふさわしくないプレーをしたとしても、選手の成長を促せるように平常心で改善案やアドバイスを伝える必要があると考えた。
終わりに
高校野球は変わってきている。「管理される野球」から、「自らが管理する野球」に変わってきている。ノーサイン野球は、現代社会に必要な「自主性」を育めるすばらしい取り組みだと考える。
高校野球は、あくまで教育の一環だ。
勝つことに執着せず、選手の人間的な成長を促すことのできる取り組みが増えることを祈るばかりだ。
そしてエナジックスポーツの選抜での躍進に期待したい。


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