はじめに
昨年の甲子園、滋賀学園高校のダンスが話題となった。ネット上では、「面白い」「感動する」などの肯定的な声があがった一方で「ダンスをするために野球部に入ったのか」など否定的な声もあがった。高校野球はスタメンは9人、夏の大会のベンチ入りは20人だ。部員が20人以上いる高校は、必然的に背番号をもらえない選手がうまれる。私も高校時代、部員が100人を超える高校で野球をしていた。3年間1度もベンチに入ったことはない。その経験を基に「補欠問題」について考える。
2024夏の甲子園出場校 部員ランキング ()=マネージャー
1位 広陵 155人(7人)
2位 報徳学園 143人(3人)
3位 聖光学院 116人(0人)
3位 明徳義塾 116人(1人)
5位 花咲徳栄 111人(6人)
6位 鶴岡東 107人(0人)
7位 花巻東 106人(5人)
7位 創成館 106人(3人)
7位 熊本工業 106人(7人)
10位 岡山学芸館 100人(10人)
1位から10位までの高校の部員数を見るとどの学校も100人を超えている。強豪校であればあるほど、その高校の野球部に入りたい、ユニフォームを着たいという選手が多くなる。その結果、部員数が増えてしまうのだ。部員が増えるということはそれだけ補欠も増えるということだ。
(今だけ野球道具が激安価格で買える!!)1学年10人を実践した智辯和歌山高校
智辯和歌山高校の高嶋仁元監督は、1学年10人しかいれないという方針をとっていた。その理由を「人数が多い学校に行くと、夏の大会前でも(球拾いなどで)外野で遊んでる子がおる。それが3年生なんです。そういう選手だけはつくりたくなかった」と述べた。
しかし、少数精鋭のチームは少ない。それはなぜか。理由の1つとして、学校経営の問題が挙げられる。高校は、生徒が支払う学費によって学校経営が成り立っている。地方の生徒数が少ない高校であれば、野球部の部員で経営が支えられている場合もあるのだ。よって人数を制限することができない。他また、部活動は教育の一環だと捉えれば、入部したい生徒を学校側が拒むことはできないという考え方もできる。
部員数が多いメリット
- 選手の層が厚くなる
- 社会性を身に着けることができる
部員数が多いデメリット
- ベンチ外の選手が多くなる
- 練習効率が悪くなる
チームを強くするためには、試合に出る選手だけで練習するのが一番効率が良い。
- 機会が平等に与えられない
部員の中でも実力の差があるのは事実である。試合であれば、実力のある選手が優先的に試合にでる。練習であれば、試合に出ている選手がフリーバッティングをして、それ以外の選手はティーバッティングをするなど、全選手に平等に機会を与えることができない。
- 指導者の目が行き届かない
「補欠問題」をどう解決すればいいのか
「補欠問題」を解決するために、「予選とは別にリーグ戦を導入する」、「1つの高校から複数チームの出場」などの策があがっている。私は、この方法の実現はかなり難しいと感じている。
リーグ戦は、負けても次があるため様々な選手を起用できるというメリットがある。しかし、都道府県予選のリーグ戦の導入は、加盟校の多い都道府県があるため不可能に近い。予選以外にリーグ戦を行うことで「補欠問題」を解決できるかもしれない。しかし、高校野球は「甲子園」が圧倒的な価値を持っている。甲子園は全高校野球児の夢であり目標である。甲子園に出れないリーグ戦に出場したところで選手は満足できるのだろうか。
複数チームの出場は、トーナメント戦では現実的に不可能だと考える。同じ高校が当たった時に問題が生じるのは間違いないだろう。
私は、「補欠」の人数を減らすのではなく、「補欠」の選手が最大限に活躍できる組織作りを目指す必要があると考える。そこで私は以下の解決方法を提案する。
解決方法
- 選手以外の役職の充実、価値の向上
大学野球では、マネージャーだけでなくアナリスト、トレーナー、学生コーチなどのスタッフの役職が充実している。高校野球においても、これらの役職を設けることで補欠の選手が活躍できるようになるのではないか。しかし、ほぼ全員の選手が「レギュラーをとる」、「ベンチ入りをする」という目標をもって野球をしている。目標を諦め、選手を退いてスタッフになるには相当な覚悟が必要である。大事になってくるのが「スタッフ」の価値だ。スタッフがいかにチームに必要かということが選手に伝われば、自らスタッフになる選手も現れると考える。そうすれば、「補欠」の選手が最大限に活躍できる組織をつくれるのではないか。その際に、第一に優先するのは「部員の意思」である。強制的にスタッフにさせるのではなく、部員が自分の選択肢を選べることが重要だと考える。
終わりに 筆者の経験談
「補欠問題」は、選手目線からすればそこまで大した問題ではない。私は高校時代1度もベンチに入ったことがない。Bチームの扱いはAチームに比べると、不遇だと感じることもあった。しかし、高校野球を終えた今、Bチームの練習試合を組んでくださったり、Bチームがグラウンドを使って練習できるように工夫してくださった指導者の方には感謝しかしかない。
当時のチームメイトで高校時代に試合に出た出なかったなど、気にしている人はほぼいない。「試合に出れなくて可哀そう」など選手以外の人間がとやかく言うことではないのだ。

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